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大激突!! イングラム vs サターン!!

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  3. 大激突!! イングラム vs サターン!!
轟音と共に倉庫の一部を吹き飛ばし、俺達に向けて42ミリオートカノンを突きつける、強盗団のサターン。
ったく、サターン本体は兎も角、オプションの42ミリオートカノンなんて危険な代物を、強盗団がよく入手できたものだな!!
そんな考えを胸に抱きつつ、俺は1号機を操作して、素早くリボルバーカノンを突きつける。
リボルバーカノンの口径は37ミリであり、サターンのオートカノンより小口径だが、素手で対抗するより何倍もマシだ。
「動くな、直ちにレイバーを停止させ、降りてくるんだ!!抵抗するなら、容赦なく撃つぞ!!」
『うっせえ!!』
俺は外部スピーカー越しに、大声でサターンの搭乗員に対し、警告するが、サターンの搭乗員は”予想通り”と言うべきか、俺の警告に従う事無く42ミリオートカノンをぶっ放してくる。
放たれた42ミリオートカノンの弾丸は、再び近くの倉庫に命中し、その倉庫の一部を先程と同じ様に豪快に吹き飛ばす。
咄嗟に1号機を操作し、別の倉庫に身を隠すと、同じ様にマリの2号機、桜井と昴の乗る指揮車も倉庫に身を隠し、相手の射程上から外れる。
『うわっ!!』
『た、退避、退避ーっ!!』
それと同時に、飛んでくる倉庫の瓦礫から、逃げる為に強襲科の生徒や機動隊員達が慌てふためく側で、桜井が指揮車の中から、大声で指示を飛ばす。
『海斗、注意しなさい!!奴の42ミリオートカノンなんて、真面目に喰らったら、「AD型に大穴が開く」なんてレベルじゃ済まないわよ!!』
「分かってるっつーの!!あと、桜井、必要以上に声がデカーイ!!」
『何を、このエビ煎餅がぁーっ!!』
ヘッドギアのスピーカーから聞えてくる桜井の怒号を前に、頭がキンキンする側で、同じ様に昴が、マリに指示を出している。
『マリさん、コチラも銃で対抗です!!リボルバーカノンを!!』
『えぇー……、あんまり銃は得意じゃないんだけど……、それに近接戦闘の方が好きだなぁ……』
昴の出したリボルバーカノン使用命令に対し、苦虫を潰した様な口調で答える。
確かに、マリはADレイバー隊のメンバーでも、射撃が得意な方では無い。
イングラムでの射撃にしろ、生身で拳銃を使うにしても、射撃の成績は宜しくなかったりする。
何故だか、知らないけど、彼女が銃を撃つと、放たれた弾丸が明後日の方向に飛んで言ったりする……。
近接戦闘の技術は滅茶苦茶優秀なのに、何で射撃はココまで下手なんだろうな?
しかし、それでも、殆ど当たらない土屋に比べると「まだマシ」な評価になるのだがな。


そんな「まだマシ」な射撃成績のマリに対し、昴が尻を叩く様にこう言い放つ。
『この際、手段を選んでいる場合じゃないですよ!!』
『はい、はい、了解っ!!』
そうケツを叩かれたマリは、半場、イヤイヤな状態で、2号機のリボルバーカノンを引き抜く。
『こちら桜井、1号機射撃準備完了!!』
『こちら昴、2号も射撃準備OKです!!レイバー本体への、攻撃許可を!!』
1号機、2号機共に攻撃態勢が整った事を確認した、桜井と昴がリーダーに対して、攻撃許可を求める様に報告する。
これは先程の射撃がレイバーの武器を狙ったのに対し、今は”レイバー本体を狙い撃つ”と言う状況の違いから来るものだ。
リーダーはコレを聞き、『よぉし……』と一言呟くと、こう言い放つ。
『1号機、2号機、共に発砲許可を出す、確実に仕留めろ!!んで、言わなくても、分かっていると思うが、射殺はするなよ!!』
『『了解っ!!』』
このリーダーの指示を聞き、俺とマリは共に復唱を返すと同時に、隠れていた倉庫の陰から身を乗り出すなり、42ミリオートカノンを構えるサターンに対して、リボルバーカノンを突きつける。
そして、最初に俺、続いてマリが共にレバーに付いたトリガーを引いて、リボルバーカノンを2発、豪快にぶっ放す。
この際に鳴り響いた2発の37ミリ対レイバー用ホローポイント弾の凄まじい轟音に、再び強襲科生徒や機動隊員達が腰を抜かしてしまう側で、俺とマリのイングラムから銃撃を受けた強盗団のサターンは、まるで銃撃戦をする人間の様に倉庫に身を隠して、俺とマリの放った銃弾を回避する。
その様子をレイバーのメインディスプレイから、見ていた俺に対し、イングラムからの中継を受け、指揮車内のディスプレイで、同じ光景を見ていた桜井が、こう言い放つ。
『海斗、奴の側面に回り込むわよ!!』
「え、俺が?」
桜井の指示に対して、俺は思わず疑問系の声で間髪いれずに聞き返す。
だって、もう何度も言ったから分かると思うけど、近接戦闘ならマリの方が腕に覚えがある。
一応、俺だって少なからずレイバーによる格闘の心得はあるけど、それでもマリの方が近接先頭に関しては、軍配が上がっている。
この事はADレイバー隊内における「常識」であり、桜井だって知っている筈なんだけどなぁ……。
ふと、そんな疑問が湧いてくる中、俺の疑問系な声に癪に障ったのか、桜井が大声でこう言い放つ。
『ネチネチ言うな、このエビかつがああっ!!大田先輩も言っていたでしょ、「こういう時こそ、現場の判断だ!!」って!!それに操縦担当は指揮担当の言うとおりに従うべし!!常識中の常識でしょうがぁぁーっ!!』
「訳わかんねぇ……」
『訳が分からなくても、さっさと実行!!』
「ったく、了解っ!!」
いや、マジで滅茶苦茶な相棒とバディ組んでいるな俺……。
下手したら、アリア&キンジコンビと同等か、それより悲惨なコンビなんじゃ無いのか、コレ?


桜井の指示を前に、そんな考えが沸いてくる中、俺はその指示通りに1号機を操縦して、サターンの脇腹を取りに進んでいく。
その間にも、マリの乗る2号機がサターンと銃撃戦を交わしている。
『おりゃあっ!!』
『マリさん、当たってないです!!』
ヘッドギアから聞えてくるマリと昴のやり取り、リボルバーカノンの凄まじい銃声を聞きながら、俺は1号機を一歩、一歩、確実にサターンの脇へと回りこませていく。
にしても……、相変わらずマリの奴……、下手な射撃だなぁ……。
目標のサターンに当てる所か、そもそも標的のサターンが居る方向に銃弾を飛ばすことすら、マトモに出来ていない様な……。
つーか、下手したら、悪人を取り締まる側のお前の方が被害を出してないか、悪役並みに?
外部スピーカー越しに『どりゃあああっ!!』と大声で叫ぶ、マリの声と共に放たれるリボルバーカノンの銃撃によって、次々とサターンと関係の無い倉庫が吹き飛ぶ様子を見て、そう思いながら、俺はサターンの近くまで1号機を接近させた。
「桜井、いいぞ。1号機から|奴《サターン》までの距離は?イングラムの音響センサーを起動させるから、そっちで確認してくれ」
『OK!!』
そう桜井が復唱を帰すのを聞きつつ、俺はコックピット内の右脇にビッシリと付いてあるセンサー類の起動スイッチの中から、音響センサーの起動スイッチを押し、音響センサーを起動させる。
瞬間、イングラムの右側頭部センサーが真ん中から、開き、中にある音響センサーが起動し、1号機とサターンとの距離を計測し、桜井の乗る指揮車に伝送する。
その伝送された音響センサーによる計測結果を見て、桜井は素早く指揮車内の小型パソコンのキーボードを叩き、1号機からサターンまでの距離を計算するなり、こう報告する。
『出たわ、海斗。距離500メートルよ、あんたの腕なら外し様が無い距離よ。確実に仕留めなさい』
「OK……、やってやるさ……」
と言ったいいけど、実際、上手く行くとは簡単には言えないのが、現実だ。
まぁ、そんなクソッタレで悲しい現実の中で、事を上手く事を進めるのが、俺達の仕事だ……。
確か、ことわざで『毒も喰らえば皿まで』だっけ?お言葉通り、皿まで喰らってやるよ!!


覚悟を決めた俺は、一回コックピットの中で深く息を吐き、心臓の鼓動を抑えると一気に1号機を操作する。
「動くな!!」
隠れていたコンテナから、1号機の身を乗り出し、サターンにリボルバーカノンを突きつけながら、外部スピーカーで警告した、その時だった。
『待ってたぜぇぇぇっ!!』
「っ!?」
突如として、1号機の直ぐ脇にあったコンテナを吹き飛ばしながら、隠れていた強盗団のブルドッグが、左腕につけたエンジンカッターのエンジン音を豪快に鳴らしながら、俺の乗る1号機に切り掛かってくる。
つーか、このブルドッグ、俺が接近してくるまで、ずーっとそこに隠れていたのか!?
敵ながら「よっ、天晴れ!!」と言いたくなる忍耐力だな、コノヤローっ!!
そんなブルドッグのエンジンカッターによる切り付け攻撃を咄嗟にシールドでカバーすると、右手に持ったリボルバーカノンのグリップで思いっきりブルドッグを殴りつける。
瞬間、「バッキイッ!!」と言った凄まじい衝突音が鳴り響く中、桜井が驚いたような声でこう言い放つ。
『なんて奴……、エンジンを停止状態にして、センサーの目を逃れつつ、隠れていたのね!?』
「なるほどなっ!!」
どうりで、先程の音響センサーによる索敵で見つからない訳か!!
桜井の驚嘆する声を聞きながら、目の前でエンジンカッターを鳴らしながら、俺&1号機と対峙するブルドックをディスプレイ越しに睨んでいた時だった。何かに気付いた桜井が、大声で叫ぶ。
『海斗、後ろっ!!』
「くっ!?」
桜井の声を聞き、すぐさま後方確認ディスプレイに視線を向けると、そこには俺&1号機に42ミリオートカノンを突きつけるサターンの姿だ。
クソッ、目の前のブルドッグに気を取られ過ぎたかっ!!
もう回避しようにも間に合わない、俺の人生、ココまでか……。
死すら覚悟して、間も無く来るであろう凄まじい衝撃に対し、コックピット内で身構えていた時だった。
『とりゃあああああっ!!』
と、言ったマリの叫び声がヘッドギアのスピーカーから、鳴り響くと同時に、マリの乗る2号機がリボルバーカノンを脚部の収納ケースに戻すなり、独特の機械音を鳴らしつつ、イングラムの股間部に付いているワイヤーウィンチを伸ばすと同時に、サターンに対して、ワイヤーを投げ付ける。
そのワイヤーは、まるで西部劇に登場するカウボーイの投げ縄の様にサターンの右脚に勢い良く巻きつく。
2号機のディスプレイで、その様子を確認したマリはコックピット内で『もらった!!』と呟くと同時に、一気にワイヤーをイングラムの手で引っ張る。
それに右足を引っ張られたサターンは、ド派手にずっこけた。
『ワイヤー技術なら、野明先輩にも負けないわよ!!』
そうこけたサターンに対して、言い放つ様なマリ。
うーん……、射撃の腕もコレと同じかぐらいあればなぁ……。
ふとそう思いながら、彼女の声に耳を傾けていると、マリはこう言葉を続けた。
『|コイツ《サターン》は私が相手するわ!!海斗はブルドッグをお願い!!』
「OK……、任せたぞ!!桜井、バックアップを!!」
『言われなくても!!』
格闘技術において優れるマリだ、近接戦闘だったらサターンでも相手に出来る腕を持っている。
ここは彼女の言葉に従って、俺は桜井にバックアップの指示を飛ばしつつ、エンジンカッターのエンジン音を鳴らすブルドックと改めて対峙する……。





……

………



<マリSide>
思わず勢いで、『コイツ《サターン》は私が相手するわ!!』なんて言っちゃったけど……。
ぶっちゃけた話……、正直言って警備用のサターンが相手じゃあ、手を焼きそうね……。
まぁ……「自分でまいた種」及び「投げたサイコロ」ですし、シッカリと”落とし前”って奴はつけさせてもらいますよ……、てっ!!

ズドォォォーンッ!!

コイツ、人が語っている最中に42ミリオートカノン、ぶっ放してきた!!空気読めないやつねぇー!!
私は足にワイヤーが絡みつき、思うように動けないながらも、必死に応戦していたサターンの銃弾を回避しながら、そう思っていると、昴の声がヘッドギアから聞えてくる。
『マリさん、気をつけて!!サターンの銃には、まだ弾丸がっ!!』
「言われなくても分かってるわよぉーっ!!」
現に、目の前で、私の乗る2号機目掛けて、豪快にぶっ放してきたしね!!
私はとっさにワイヤーを巻いて、サターンに絡み付いていたワイヤーを戻す。
サターンの動きを自由にしてしまうけど、逆を言えば私の動きも制限されてしまうから、さっきの様に銃撃されたら、当たってしまう可能性も上がるのよ。
そんな理由でワイヤーを戻す、私のイングラムと対峙するサターンは、素早く起き上がると、私の乗る2号機に対して、42ミリオートカノンを向けて、発砲しようとする。
だけど、それよりも先に私の乗る2号機が一気に距離を詰め、思いっきり42ミリオートカノンを握り締めるサターンの右手に拳を振り落とす。
同時に凄まじい衝突音が鳴り響き、42ミリオートカノンが地面に落下。
『マリさん、銃が落ちました!!奴に拾わせないで下さい!!』
「言われなくてもっ!!」
昴の報告と共に、2号機のディスプレイ内で、その様子を見た私は、フットバーを器用に操作して、地面に落ちた42ミリオートカノンを勢い良く、サッカーボールの様に蹴り飛ばす。
蹴飛ばされた42ミリオートカノンは、「ガシャン、ガシャン!!」と言う金属音と共に地面を転がっていき、最終的には海に落下。豪快な水しぶきが上がる。
『くっ!?』
この様子を見ていたサターンの操縦者が、外部スピーカー越しに、思わず苦虫をかんだような声を上げるのを聞き、私はシールドに収納していた電磁警棒を引き抜き、サターンに突きつけて警告する。
「動くなっ!!」
『クッソォォッ!!』
サターンの操縦者は怒り心頭と言った感じの声で、サターンのオプション装備の専用ナイフを引き抜くなり、私の乗る2号機に切り掛かってくる。
この攻撃を私は横にした電磁警棒で受け止め、その状態で思いっきりサターンの胴体目掛けて、突進する。
イングラムとサターンの装甲同士が激しくぶつかり合い、凄まじい衝突音を上げる中、私は2号機の胴体で鍔迫り合い状態のサターンを持ち上げて、鍔迫り合いを解除する。


その際に、サターンがバランスを取りながら、後ずさりする中、私は2号機を反転させるなり、そのままフットバーを後ろに踏みこんで、左足を思いっきり後ろに振り上げさせて、後ろ蹴りをサターンに食らわせる。
瞬間、先程とは桁違いの衝突音が鳴り響き、サターンは大きく後退。
私はそれを見ながら、まるで時代劇で、鞘から抜いた刀を構える侍の様に電磁警棒を構え直しながら、2号機をサターンと対峙させる。
『クッソォ……っ!!』
この様子を見たサターンの操縦者も、半場、切れ気味な口調でナイフを、ギラリとチラつかせながら、構える。
それと同時に一気にサターンは駆け寄ってきながら、私の2号機に対して、再びナイフをかざして、切り掛かって来る。
『マリさん、来ます!!大好物の近接戦闘ですよ!!』
「OK!!」
2号機の直ぐ後ろに付いていた指揮車の中で、状況を確認していた昴が、警戒を告げる。
私は、この昴の警告と共に、2号機のレバーを操り、電磁警棒を構え、振り落とされたサターンのナイフを受け止める。
鋭い金属音と共にオレンジの火花が散る中、私は受け止めたサターンのナイフを押し返すと、サターンの胴体目掛けて、電磁警棒を横に振る。
サターンは、後ろに小さくジャンプして、打撃を回避し、私はそれを見ながら、3回程、右、左、右と電磁警棒を振って、連続して電磁警棒でサターンを攻撃。
この攻撃をサターンは、ジャンプしたり、火花を散らしつつ、ナイフで受け止めるなりして、回避すると、今度は2号機の頭を目掛け、ナイフを振り落としてくる。
頭部への攻撃を回避しつつ、私は右側のシールドでナイフを受け止めるなり、お返しと言わんばかりに電磁警棒を横に振り、先程と同じ様にサターンの胴体を目掛けて、打撃を放つ。
三度、凄まじい衝突音と共に火花が散って、サターンが後ろに飛ぶが、間を入れる事無くサターンは私にナイフを次々と振って、反撃してくる。


この反撃を私は、回避したり、電磁警棒やシールドで受け止めたり、押し返す等して、双方共に短いリーチの連続で次々と「攻撃、回避、反撃」を繰り返して、一歩も譲らないガチンコの殴り合いを続ける。
『この尼ぁっ!!』
連続した戦いの流れを変えようとしてか、サターンは突如として、2号機の右腕を掴むと、思いっきり2号機を引き寄せる。
「うへっ!?」
『マリさん、サターンが切りかかってきます!!左のシールドで受け止めて!!』
引き寄せられた際に思わず、唖然としてしまった私の気をハッキリさせるかの様に、昴が大声で叫んだ。
それによって、ハッキリした意識でディスプレイを確認すると、そこには私の2号機の胴体を目掛けて、ナイフを突き刺そうとするサターンの姿が。
『死ねェェッ!!』
「っ!?」
私はそれを咄嗟に左のシールドで受け止め、何とか胴体への直撃を逃れるが、サターンは続け様にナイフと再びシールドに突き刺した。
2回、凄まじい衝撃が2号機を包む中、私はフットバーを操作して、思いっきり右足を振り上げるなり、そのままサターンの胴体を蹴り上げる。
『うおおっ!?』
「どりゃああああっ!!」
この蹴りの直撃を食らったサターンは、大きくよろめきながら後ろにある廃倉庫に背中をぶつける。
それを見た私は、さっきのお返しとして、サターンの肩を掴むなり、思いっきり引っ張って、反対側にあるコンテナの山にサターンを突っ込ませる。
瞬間、今までとは比べ物にならない程、大きな衝突音が鳴り響き、積まれたコンテナが崩れ落ちる。
『ぐっ!!』
コンテナの山に突っ込んだサターンは、咄嗟に崩したコンテナの山の中にあったコンテナを払う様に、2号機目掛けて投げ付けてくる。
「っ!!」
『死ねえええっー!!』
飛んできたコンテナを左のシールドで受け止め、シールドを下ろした瞬間、サターンは2号機の頭部を目掛けて、ナイフを横に振って切り付けて来る。
私は、これを某有名アクション映画の”ブリッジ弾避けシーン”の様に回避するが、その際にバランスを崩して、2号機はしりもちを付くような形で転倒する。
「くっ!!」
『クタバレーっ!!』
その際の衝撃に思わず歯を食いしばって私がコックピット内で堪える中、サターンは思いっきりナイフを胴体に突き刺そうとして、振り落としてくる。


これを見た昴が、転倒する2号機から回避する為に指揮車をバックさせながら、私に対して、こう指示を飛ばす。
『マリさん、すねです、サターンのすねを全力で蹴飛ばして!!』
「おりゃああーっ!!」
昴の指示を聞き、私は再びフットバーを踏み込んで、2号機の右足を勢い良く振り上げると、勢いそのままで、昴の指示通りサターンのすねを蹴り飛ばす。
これによって凄まじい衝突音と共に、サターンの脚部ダンパーを粉砕する。
『うおっ!?』
「たあああっ!!」
脚部ダンパーが破壊された事で、バランス制御に異常を来たし、今までとは違う操作感覚になった事に驚いている搭乗員に構う事無く、私は続けて右足を高く振り上げると、今度はサターンの頭目掛けて蹴りを喰らわせる。
その蹴りが炸裂した瞬間、「ドガァァーンッ!!」と言う爆音と共にサターンは、バランスを崩して横転する。
ディスプレイ越しにそれを見ながら、私は2号機を起こすと、電磁警棒を振りかざし、サターンの頭目掛けて電磁警棒を振り落とす。
この私の攻撃を咄嗟にローリングで回避したサターンは、壊れた右足ダンパーを無理やり動かしながら、立ち上がるなり、ナイフで再び切り掛かって来る。
私は、これを電磁警棒やシールドで受け止めりするなどして、回避すると思いっきり左のシールドを横にし、まるで暴徒や学生運動に参加する学生をブン殴る機動隊員の様に2回、続けてサターンの胴体を思いっきり全力で殴りつける。
『どっはあああっ!!!』
この私の攻撃に思わずサターンの搭乗員が怯んだ声を上げるのを聞きながら、私は電磁警棒の先端を下に向けると、サターンの脚を目掛け、振り下ろす。
振り落とした電磁警棒は、サターンの脚を破壊。「バチ、バチッ!!」と言う電気のショート音が上がる。
その音を聞きながら、私は突き刺した電磁警棒を引き抜くと、間髪入れる事無く、今度はサターンの尻を電磁警棒で殴りつける。
瞬間、凄まじい衝突音と共にサターンは前に跳んで行く。
前に吹き飛んだサターンは、振り返るなり、搭乗員が『くっそおおっ!!』と私を罵りながら、ナイフをかざして飛び掛ろうとする。
だが、それよりも先に私の2号機が接近して、サターンの右手を掴むなり、電磁警棒を振り落とし、ナイフを持った右手を”問答無用”で粉砕。
それと同時に、腹に思いっきり蹴りをいれ、サターンを後ろに蹴飛ばす。
『ぐぅう……っ!!』
「でいやああああああああああああああああっ!!」
蹴飛ばされた際のGにサターン搭乗員が歯を食いしばって耐える中、私は思いっきり電磁警防をサターンの頭より、高く振り上げると、今までの打撃とは比べ物にならない勢いで振り落とす。
そして、振り下ろされた電磁警棒はサターンの頭部に命中、まるで空手自慢が、スイカを粉砕するかの様に”サターンの頭を木っ端微塵に粉砕”。
続いて、「バチバチバチバチィィィッ!!」と言う放電音と共に、サターンの機械全てに高圧電流が走り、次々と内部機械を破壊していく。
そうして、全てのメカ&コンピューターが破壊されたサターンは、まるで生気を失った人の様に地面へと崩れ落ちる。


ガバメントを手に指揮車の天井ハッチを開けて、サターンの停止を確認した昴が無線機を手にリーダーや作戦本部に向けて、報告する。
『こちら昴、サターンの撃破、並びに行動停止を確認!!至急、搭乗員の拘束を!!』
『了解、直ちに拘束する!!』
そう昴の報告を聞き、リーダーの声が無線機から返ってきた数十秒後には、応援にやって来た機動隊員や強襲科の生徒達が、サターンの搭乗員を引き摺り下ろしてく。
私は、その様子をコックピット内のディスプレイで見ながら、操縦席のシートの右脇にある座席上昇レバーを引く。
すると、私の座っているイングラムの座席がアクエチューターの作動音と共に上昇、それと同時にコックピットの天蓋パネルが開き、開放される。
その開放された天蓋パネルの部分から、私はイングラムの頭と胴体の丁度、中間から、ニョキッと顔を出す。
コックピットのこもった熱気から、解放されると共に、外の新鮮な空気を吸いながら、私はサターンの方を見る。
イングラムの上からなので、ハッキリとは分からないが、そこには、コックピットから引き摺り出され、強襲科の生徒と機動隊員達によって拘束される操縦者の姿があった。
「こら、静かにしろ!!」
「うるせぇ、離しやがれ!!」
「ゴタゴタ抜かすなっ!!」
「ギャフッ!!」
操縦者は、機動隊員達によって拘束されても、まだ必死に抵抗を続けていたが、強襲科の男子生徒が持っている拳銃……多分、シグ社の「P226」のグリップで、頭を一発ガツンと殴られ、完全に延びるのだった。
「ふぅ……」
その様子をイングラムの上で見ながら、私は深く息を付くのだった……。