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ガルパン 戦車道 雄型

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プロローグ

茨城県大洗町に存在する、とある戦車道専門の試合会場。
現在、そこでは大洗学園と聖グロリアーナによる戦車道の練習試合が行わている。
凄まじいキャタピラの金属摩擦音とエンジン音、それに伴う土煙を上げて、草が転々と生えている岩場を前進する”チャーチル歩兵戦車”1台と”マチルダ2歩兵戦車”4台が体型を組み前進する。
その後に続く様に1台の”トータス重駆逐戦車”と2台の”セントー巡航戦車”が同じように体型を組んで前進する。
それを少し離れた場所から”大洗学園”の制服を来た男子と女子が二人ずつ、合わせて4人が双眼鏡を使って覗き込んでいた


その綺麗な体型を組みながら前進する戦車隊を見て大荒学園戦車道チームに所属する一人の女子である”秋山優花里(あきやまゆかり)”が口を開きこう言い放つ。
「凄い、綺麗な隊列組んでますね西住殿」
「うん、あの速度で動いで全車両、隊列を乱さないなんて流石……」
そう言って秋山の言葉に頷くのは大洗学園戦車道チームの隊長である”西住みほ(にしずみ)”である。
そんな二人の言葉を聞きながら一人の男子生徒が口を開きこう言い放つ
「コチラの戦車の徹甲弾で奴さんを撃破するには側面かケツを取るしか無いな……」
「そうですね、喜多川殿」
そう言い放ったのは、これから始まる物語の主人公である”喜多川龍(きたがわりゅう)”である。
彼は大洗学園の戦車道チームの副隊長であり、隊長のみほと幼馴染である。


そんな彼は双眼鏡を覗き込みながら前進していたトータス重駆逐戦車を見ながらこう言い放つ。
「やばいぞ……、戦車長が顔を出した!!みほ、秋山、伏せろ!!」
そう言って地面に伏せる龍の乗る戦車の砲手でもう一人の男子生徒”神崎裕也(かんざきゆうや)”は地面に伏せる龍を見て「はぁ・・・」と溜息をついた後こう言い放つ
「龍、奴さんの戦車長はコチラには気付いてない。そこまでしなくて大丈夫だ」
「そうか?」
裕也にそう言われて地面から起き上がった裕也はみほに顔を向けてこう言い放つ。
「んで、さっきも言ったがコチラの戦車の徹甲弾で奴らを撃破するには側面かケツを取るしか無い、簡単な事じゃないぞ」
「そこは戦術と腕かな……」
「まぁ、それしか無いよな」
そう言って軽く笑うみほの顔を見て龍はそう言いながら息を吐くのであった。
「じゃあ、今から部隊を展開させましょう。龍君は他の戦車にもエンジンを始動させたらエンジン音を控えめにする様に伝えてください」
「了解だ」
そう言うみほの言葉に全員が頷くと後方に停めてあった戦車に彼らは戻っていく。


龍は自身の戦車に乗るとキューポラに手を掛けながら、こう言い放つ。
「全車、エンジン起動させろ。だが、エンジン音は控えめにだ!!」
戻るなり、そうい言いながら龍は自分たちの戦車に乗り込むみほ、秋山、裕也を横目に見ながら、他のメンバーの戦車長達に向かってそう命令する
「速く乗れよ、龍」
「ああ、分かってる」
龍に命令された戦車長達は一斉に自分たちの乗る戦車のエンジンを起動させる。
それを確認した龍も裕也に催促されて自分の乗る”5式中戦車”に乗り込むとこう言い放つ。
「操縦手、地点536へ向けて前進開始!!」
そう龍が言うと彼の乗る5式中戦車はエンジン音とキャタピラの摩擦音を立てながら動き始める。


龍と裕也を乗せた5式中戦車の周りには何処ぞの独裁者かと思わせう程”金ピカの38t軽戦車”や、”旗頭が立ち、赤やら青やら白やらで塗られた3号突撃砲”、”異常なまでに真っピンクなM3リー中戦車”、”横にデカデカと『バレー部復活!!』と書かれた89式中戦車”が走り、その89式の後ろを”野球ボールが書かれたラム巡航戦車”が付いて行くように進む。
その後ろを、みほと秋山が乗る隊長車である”4号戦車D型”がエンジン音をキャタピラ音を立てながら進み、途中で1年生の乗るM3リーのドアから敬礼されながら龍の乗る5式は他のメンバー達の乗る戦車の間を抜け、みほの4号と共に部隊の先頭に立つ


乗っている5式が先頭に立つと龍は後ろを振り返り各社の車間間隔を確認する。
「Cチーム(カバさんチーム)、車間間隔が少し宏すぎるぞ、速度を上げて35メートル前後まで接近しろ」
『了解した!!』
そう言う3号突撃砲の車長エルヴィンに指示を出した後、龍は無線機チャンネルを切り替え4号戦車に乗るみほに連絡を取る。
「みほ、最後の作戦確認を行ったほうがいいぞ」
『うん』
そう言う、みほの声が無線機から続けざまに聞こえてくる。
『敵は8両が前進中です、先程の打ち合わせ通り、私と副隊長が囮になりますので皆さんは例の峠で待機して下さい』
『『『は~い』』』
そう言う1年生の声を聞きながら龍は手をハッチの上から横にブンッ!!と勢い良く振って他の車両の進む方向を合図する
みほはそれをキューポラから確認すると一回息を吸ってこう言い放つ
『それでは、コソコソ作戦を開始します!!』
みほがそう言うと同時に38t、89式、M3リー、ラム、3突は龍の支持した方向に進路を変えて前進する。
「ふぅ……」
それを見て一通りの仕事を終えた龍は一息つきながら5式の車内へと自身の体を収める。


そんな龍を見て裕也が龍の顔を見ながらこう言ってくる。
「まだ、始まったばかりなのにもうグッタリしてんのか?」
「はぁ?、まだこんなのはグッタリした内に入らねぇよ」
そう言って龍が鼻で笑いながら裕也に返すと今度は装填手の”玄田高次(げんだこうじ)”がこう言い放つ。
「そりゃそうだろ!!俺なんてまだピンピンしてるぜ!!」
「何も仕事してないからな、脳筋野郎」
「何だとォォ!?」
「まぁ、まぁ、高次。落ち着きなよ」
裕也に脳筋野郎と言われて頭に血を上らす玄田を落ち着かすように操縦手の”木場正純(きばまさずみ)”が操縦桿を握りしめアクセルを踏み込み5式を走らせる側では、5式中戦車の特徴の1つである副砲の37ミリ対戦車砲の砲手兼装填手ならびに通信手の”葵直政(あおいなおまさ)”が木場に続くようにこう言い放つ。
「木場の言うとおりだぜ玄田、そうカッカしてたら寄ってくる女も逃げてくぜぇ」
「うるせぇ!!この告白玉砕回数30連敗が!!」
「おい、全員その編にしておけ、もう直ぐ作戦ポイントだぞ」
そう言って龍がメンバーの会話を打ち切らせると再びみほに連絡を取る
「みほ、あくまで俺達は囮であって撃破は目的ではないんだな?」
龍がそう問いかけると無線機からは『うん』と言う言葉に続くようにみほがこう言ってくる。
『峠におびき出すのが目的だから数発発砲したら直ぐに撤退できるようにしておいて』
「了解」
そう言ってみほと無線連絡を終えた龍は車内の玄田に指示を出す。



「玄田、75ミリ一式徹甲弾装填急げ!!」
「了解!!」
龍にそう言われた玄田は素早く砲弾ラックから徹甲弾を取り出すと素早く5式のベルト給弾式自動装填装置に砲弾を乗せ、ボタンを押して徹甲弾を戦車砲に装填する。
「装填完了!!」
「よし、次は煙幕弾を用意しておけ。1発徹甲弾を打ち込んだら直ぐにずらかる、その際の目潰しだ」
「了解!!」
そう言って玄田が煙幕弾を砲弾ラックから取り出し、徹甲弾の装填で空いたスペースに置き、素早い次弾装填に備える側で龍は今度は裕也に指示を出す。
「裕也、用意しておけよ」
「分かってるって、龍」
そう言って裕也が笑うのを見ながら龍達を乗せた5式中戦車はみほ達の乗る4号戦車と共に作戦ポイントへと走行するのであった。


作戦ポイントに到着した龍達の5式とみほ達の4号は体型を組んで前進するチャーチル、マチルダ、トータス、セントーに照準を合わせる。
「照準良し!!」
「37ミリ砲、準備並びに照準OKだ!!」
『みほさん、こちらも照準宜しいですわ』
裕也と4号戦車の砲手の五十鈴華(いすずはな)が共に前進する敵戦車に向け、照準を合わせ終わった事を聞いた龍とみほはハッチから互いの顔を見合わせた後、頷き、無線機を通じてこう言葉を交わす。
「良し、始めるぞ!!」
『うん!!』
そして、互いに一回息を吸った後、こう言い放つのであった
『撃てっ!!』
「主砲、副砲、共に撃てぇ!!」


ズドォォン!!
ドォォォンッ!!
ドゴォンッ!!


次の瞬間、3発の砲声が会場に鳴り響いた……。