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第1話 戦車道を選択せよ!?

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  3. 第1話 戦車道を選択せよ!?
とある学生寮の一室にてピピピ……と言う無機質な機会音……、並びに目覚まし時計のアラームが鳴りつつ、起きる時間が来た事を告げる。
それと同時に窓から差し込んでくる朝の太陽の光は閉じている瞳ですら感じる事が出来る程だ。
「ん……、朝か……」
そうボヤきながら、俺”喜多川龍|《きたがわりゅう》”はゆっくりと寝ていたベッドの上から起き上がる。
うーん……、昨日は深夜のバラエティ番組を見ていた故に寝不足なのか……、まだ寝足りないぞ……、こん畜生……、こんな日に限って学校かよ……、朝からテンション下がるぜ……。
「ふぁぁ~……」
胸の内でそうボヤきつつ、酸素不足の脳に酸素を送るように大きなアクビをしながら俺は登校の準備として通っている学校である”大洗学園”の制服に腕を通す。
あぁ……、いくら学生の身分故にやらないと行けない行為だとは分かってるけど……、やっぱり朝は辛いぜ……。
そう思いつつ、学校の制服に着替えた俺は朝食にするべく、冷蔵庫を開けてパパっと食べれそうな物を探すが何も無かった。
って言うか、冷蔵庫の中身が無い……、”外に行くのがダルい”って理由で食材の買い出ししてなかったからなぁ……。
こんなになるんだったら、ダルい体にムチ打ってでも週末に買い出しに行くべきだったな……。
もう過ぎ去った週末を悔やんでも仕方が無い……、学校行きながらパンでも買って食うか……、『腹が減っては戦はできぬ』って言うしな。
そう心の中でボヤきながら机の上に置いていたリュックサックに腕を通し部屋を出た。


そして俺は計画通り……と言うべきなのかね?
学校に向かう前に近所のパン屋に立ち寄り、朝食のパンを買う事にする。
っていうか、ココのパンは本当に上手いんだよ。特に明太フランス、オススメです。(※誰に言っているんだ……、俺……)
思わず蘇ってくる好物の明太フランスの味に思わずヨダレが出てくる中、俺はパン屋のドアをくぐると副店長と思えし店主のオバさんが俺の存在に気づき笑顔でこう言い放つ。
「あらぁ~、龍ちゃん。久しぶりねぇ~!!明太フランス、出来ているわよ!!」
「お久しぶりです」
そうパン屋の店主のおばさんに歓迎されながら俺は頭をペコリと下げつつ、トレーに明太フランスを乗せる。
うーん、本当に何時見ても美味そうだ。
明太フランスを見て更にヨダレが湧いてくる中、俺は飲み物のミルクコーヒーを冷蔵庫から取り出してトレーに乗せるとレジに持って行き通していく。
すると、店主のオバサンは久々の俺の訪問に笑みを浮かべつつ、朝らしからぬテンションで痴話話をしながらレジを打つ。
「この歳で福岡から出てきて一人暮らしなんて、本当に立派ねぇ~!!ウチの娘も見習ってほしいわぁ~……」
「あぁ……、そりゃ、どうも……」
オバサン……、痴話話をするのは良いのですけど……、朝からのこのテンションは少しキツイです……。
そう思いながら、パン屋のおばさんに苦笑いしながらパンを買って店を出て数メートル程、進んだ先で買った明太フランスを口に加え、コーヒーの缶を開けながら手にサービスで貰ったパンの入った袋を下げつつ、学校に向かおうと顔を上げた瞬間であった。
「ぶへっ!!」
俺の目の前で骨まで響いてきそうな、痛~い音を立てつつ俺の幼馴染である”西住みほ|《にしずみ》”が電柱並びに看板に正面衝突していた。


っていうか、しっかりしろよ俺の幼馴染……。
そう胸の内で思うと共に口から深い溜息が出る俺の存在に気づかず、みほは「痛てて……」と思いっきり看板にぶつけた己のデコをさすっている。
「はぁ……」
これを見て俺は思わず朝には相応しく無い深い溜息を一回付くと共にみほに話しかける。
「何をやってるんだお前は?」
「りゅ、龍君!?」
俺がそう声を掛けるとみほは痛む頭を抑えながら俺の方を向くと恥ずかしい所を見られたのか「あわわっ!!」と顔を赤らめながらあたふたしていた。
おいおい……、落ち着けよ……、みほ……。
余りの慌てふためく様子に”今度は工事中のマンホールに落ちるんじゃないのか?”と言った考えが浮かぶが、縁起でも無いので頭の中から取り消す。
それと共に俺はもう一度、深い溜息をつきながらみほに向けてこう言い放つ。
「落ち着け、早いとこ学校行こうぜ」
「う、うん!!」
そう言って先に歩き出す俺の後を付いてくるようにみほも歩き出す。
ここで、ふと脱線してこの場を借りて俺と幼馴染でみほとの繋がりを説明させてもらう。

オイそこ「んな、物いらねぇーんだよ」と言うなコラ。

えー……、話を戻して説明を続ける事にしよう。
俺の家系は曽祖父の代から軍人並びに自衛官の家系で、俗に言う”軍人家系”と言う奴である。
曽祖父は旧日本陸軍の砲兵隊の司令官として硫黄島の戦いに動員された職業軍人である。
その息子である俺の爺ちゃんは、創設間も無い”警察予備隊”のパラシュート部隊の隊長を務めていた。
そんで、その息子である親父は自衛隊の”機甲部隊(戦車部隊)”の司令官である。
まぁ、そんな流れからか俺も将来は自衛官、それも機甲部隊の隊員を目指している。
勿論、俺自身も自衛官になりたいからだ。
言っておくが、決して親に強要されている訳じゃないからな。


んでもって、みほは俺の幼馴染である事は既に何度も書いた事だよな。

っていうか、誰だ「リア充爆発しろ」とか言った奴!?

んで再び話を戻して説明するが、みほと幼馴染になった理由は彼女の”実家の家系”にある。
みほの実家の家系は”戦車道”の流派の家元だ。
彼女の家系の戦車道は”西住流”と呼ばれ、数ある戦車道の流派の中でも有数の歴史を持つ戦車道の流派として名が知られている。
この時点でディスプレイの前に座る読者諸君は大体は予想が付いていると思うが、俺の親父がこの西住流を受けていた家門生だった訳だ。
そんな感じで”西住流戦車道 雄型”を親父が取っていた為、俺とみほは親父が自衛隊の再編成で福岡に新設された機甲部隊の司令官に任命されるまで、家族ぐるみの付き合いをしていたのよ。
んで、んで、親父が新設された機甲部隊の司令官として福岡に駐屯した後、俺とみほは離れ離れになってしまい、たまに年賀状のやり取りや夏休み等の纏まった休暇を利用して会いに行く程度の付き合いだった。
そんな感じの付き合いが続くと思っていた矢先にみほは”ある事件”から親との関係がギクシャクしている為、それから逃げるような形で突然、俺の在学している大洗学園に転校してきたのだった。
いやぁ~、マジでイキナリ転校してきた時はアメコミで見る様に”目が飛び出る”かと思ったわ……。
まぁ、個人的にはこの”事件”に関しては俺はみほの行動は間違っていないと思うし、逆にこの事を避難する西住流の家元に対して正直言って嫌悪感を感じる程だ。(※なぉ、これはあくまで個人の意見です。by龍)



こんな感じで再開した俺とみほが向かうのは俺とみほが在学している学校の”大洗学園”並びに旧”大洗女子学園”の門を俺とみほは共に揃って校門を潜るのであった・・・






……

………



登校してから数時間後、4校時目終了の合図のベルが鳴り授業終えたクラスメート達が昼食にするべく、ワイワイガヤガヤと喋りながら教室から出ていくのを見ながら俺は凝り固まった筋肉を背中を伸ばす。
ったく、最近は妙に肩こりが酷いんだよな……。あぁー……、こりゃ肩こりに効くと言う磁気ネックレスを買おうかな……。
「ん~っ!!ふぁぁぁ……」
そう思いながら背伸びをし、ポキポキと音を立てつつ首を回し授業で固まった肩をほぐしていた時だった。
「おい、龍。昼飯食いに行こうぜ」
突如として、後ろから声が掛けられ俺は後ろを振り返る。
そこに居たのは、俺の友人でありクラスメートの神崎裕也|《かんざきゆうや》だ。
空手を始め、柔道や剣道、ボクシング、テコンドーと言った日本で学べる大半の武道をマスターした俺が知るかぎり”最強の高校生”だ。
元に裕也に本気で殴られたら、3週間は病院のベッドで寝込む事になるぜ……。
っていうか、過去に”お姉さんに付きまとっていたストーカーをフルボッコにした挙句、病院送りにした”事実があるしな……。
いやぁ~、この世の男子の多くが”草食系男子”と言われる中、恐ろしいまでに肉食系……、いや……”某怪獣王レベル”とでも言っておこうか?
まぁ、それは側に置いといて俺は一回息を吸うと裕也に返事を返す。
「あぁ……、そうだな、裕也……」
俺はそう言いながら裕也に顔を向けながら、俺は横目でみほを見る。
「……」
俺の視界に飛び込んで来たみほは黙り込んだまま、落とした筆箱とノートを拾った後、椅子に座り込んでいた。
元々、引っ込み思案のみほは、大洗に転校してきた後も中々友達が出来ずにほぼ孤立状態だ……。
まぁ……古い幼馴染である俺が定期的に声をかけているので、完全な孤立状態では無いのが救いだが……。


おい、そこ、”自画自賛(?)”とか言うなゴラぁーッ!!


そんな、みほに目をやった後、俺は”ある事”を思いつき裕也に顔を向けてこう言い放つ。
「なぁ、裕也。彼女も一緒に昼食食っていいか?」
「ん?あぁ……お前の幼馴染さんか。あぁ、俺は構えないぜ」
某怪獣王レベルの肉食系男子の裕也も友人の頼みは、あっさりとOKしてくれた。
いやぁ~、話が分かる友人で助かるぜ。
そう思いながら、裕也の合意を得ると俺はみほの机に足を向け、みほに話しかける。
「みほ」
「何、龍君?」
そう言って顔を上げて俺に視線を向けるみほに対して思わず顔を一回背けてしまう。
いや……、そりゃ……、良い年した男子が同年代の女子に話し掛けるなんて自然とギクシャクする物だろ……。
っていうか、俺は間違ってもプレイボーイにはなれないな……。特に隣のクラスの”アイツ”みたいな感じには……。
そう胸の内で思いながら、俺はこう言葉を続ける。
「お、お前が良ければ……、一緒に昼飯でも……」
俺がそう言っていた矢先であった。
「ヘイ!!そこのボーイズ&ガール、一緒にお昼どう?」
と今時の女子感満載の言葉が俺とみほ、裕也も含めた3人に投げ掛けれられた。
っていうか、人が話している間に割り込むなよ……、一般常識だろうが……。


そう思いながら、声の掛けられた方向に俺とみほ、裕也が顔を向けるとそこに居たのはクラスの女子である武部沙織|《たけべさおり》と五十鈴華|《いすずはな》だった。
「うわぁ!?」
「落ち着け、みほ」
驚きつつ椅子からガタッ!!と立ち上がるみほを俺が落ち着かせる。
っていうか、いくらなんでも驚きすぎだろ……、お前……、なんかのショックで心停止しないか心配だぜ……。
驚きを隠せないみほを見て、俺はそう思う側で裕也が沙織に向けてこう言う。
「何だよ武部、逆ナンか?」
「まぁ~……、そんな所かなぁ~?」
そう言って沙織が裕也に対して首を横にコキッ!!と倒しながら言う側でみほはあたふたしていた。
まるで初めて飼い主の家に来た子猫の様だな。
「りゅ、龍君!!どどど、どうしようぅぅ!?」
「だから、落ち着けよ……」
そう言って慌てふためくみほを落ち着かせる俺を見て華は沙織に顔を向けるとこう言う。
「ほら、沙織さん。西住さん、驚いているじゃないですか?」
全く彼女の言う通り、幼馴染の俺でも見たことが無いような驚き様だぜ。
そう思う俺の側で、華にそう言われた沙織は裕也に向けていた顔を再びみほと俺に向けながらこう言ってくる。
「あぁ、3人共、いきなり話しかけてごめんね」
「改めまして、3人共宜しければお昼一緒にどうですか?」
謝罪を述べる沙織に続くように華がこう言い放つとみほは再び驚きながらこう返す。
「わ、私とですか!?」
「それって、俺と龍も入っているの?」
驚きながら沙織と華に返事を返すみほに続くように裕也が問い掛けるのと沙織と華は揃って縦に首を振って頷くのだった……。






……

………



こんな感じで学食に移動した俺とみほ、裕也は沙織、華と共に昼食を取っていた。
ちなみに、華が絵に描いたような大和撫子の外見なのに食事の内容が”酢豚+ラーメン+ご飯大盛り+味噌汁”と言う男の俺と裕也でもギブアップ宣言しそうな内容には若干引いた……。
細身でスラっとして、少なからずの巨乳である彼女の体の何処にこの大量の食事&エネルギーを蓄えているのだろうか……。
俺は間違っても”少なからずの巨乳”とは言わないからな……、性に敏感な中学2年生じゃ無いし……。
まぁ、そう思う俺は”チーズハンバーグ+大盛りご飯+味噌汁”とかなりのガッツリ系だがな。
そんな感じで昼食を食べながらしていた高校生の会話の話題は何時しか俺とみほの関係に。
今思い返せば、何で俺とみほの関係が話題に上がってるんだ?あぁ……、恋愛乙女脳の沙織が原因か。
そう俺とみほの関係が話題に上がった理由を突き止めた所で、その理由である沙織が納豆をかき混ぜながら俺とみほに向けてこう問い掛けてくる。
「んで、みほと龍は幼馴染なんだ?」
「うん」
「あぁ、親の仕事の都合っていうか、そんな感じで家族ぐるみの付き合いだな」
そう問いかける沙織に対して俺とみほが頷きながら返すと華が続くように問いかけて来る。
「龍さんのご両親って何をやっていらっしゃるんです?」
「ん?母さんは専業主婦だけど、親父は自衛隊の戦車部隊の司令官やっている」
この言葉を聞いて沙織と華は揃って驚き驚嘆の声を上げる。
「凄~い!!」
「自衛官のお父様だなんて立派な方なんですね」
「まぁ……な……」
うーん……、確かに日本の防衛を最前線で行っている親父だけど自衛隊内部でも”10年に一度の奇才”と言われる変人だぞ……、華……。
あと、そこの読者「オイ息子」とか言うな……。俺だって分かっては居るんだよ……。


そう思って思わず複雑な表情になる俺の顔を見つめる沙織と華を見ながらカルボナーラスパゲッティを啜っていた裕也がこう言ってくる。
「っていうか、コイツの家柄事態が俗に言う”軍人家系”って言う奴だよ」
「うわっ!!アメリカの映画やドラマでたまに聞く奴だ」
そう言って沙織が納豆に醤油を掛けながら、言う側で味噌汁を飲んでいた華が再び俺に問いかけて来る。
「お父様以外にも自衛官の方がご家族にいらっしゃるんですか?」
「あぁ」
俺はこの華の問いかけに俺は頷きながらこう返す。
「爺ちゃんが若い時に自衛隊のパラシュート部隊の隊長やっていて、曾祖父ちゃんが太平洋戦争で硫黄島で砲兵隊の指揮を取っていた」
「龍さんのご家族は皆さん凄いですねぇ」
「そうでも無いよ」
そう言って俺は味噌汁をすする。
まぁ……、先祖代々に渡って国を守る為に戦ってきた俺のご先祖様達は尊敬に値する人達で間違いは無いけどな。


そんな俺に向けて、今度は沙織が問いかけて来る。
「じゃあ、龍も自衛官になるの?」
「あぁ、親父と同じ戦車部隊を志願するつもり」
上でも言ったように俺も親父や爺ちゃんの様に自衛官になるつもりだ。
沙織の問いかけに俺はそう思いながら、返事を返すと続け様に裕也を指さしながらこう言う。
「コイツも自衛官になるってさ」
「へぇ~、そうなんだ」
鯖の味噌煮を食べながらみほがそう言うと話題に上がった裕也は頷きながらこう返す。
「まぁな、俺は”情報将校”を志願するつもり」
「情報将校って、何ですか?」
そう言って華が問い掛ける。
まぁ、ミリタリー関連に詳しく無い人が聞いたら”情報将校”なんて言葉、”よく分からないけど妙に凄い感じの言葉”にしか聞こえないしな……。
そう思う俺の側で裕也は情報将校の意味を説明する為、華に顔を向けてこう返す。
「敵の情報を収集、分析して作戦を立てる役割だよ。まぁ、時と場合によっては007みたいなスパイ活動もやるかもね」
「007ってジェームズ・ボンドになるつもりなの?」
沙織がそう驚きながら返すと裕也は首を横に振ってこう返す。
「いやぁ~、流石に俺はジェームズ・ボンドにはなれないよ」
そう言って軽く笑いながら否定した裕也はコップに入った水を飲み干すのであった。
いやいや……、某怪獣王並みに肉食系のお前なら普通に情報将校はおろか”特殊部隊”にすら余裕で行けるレベルだと思うぞ……。
そんな裕也を観ながら、俺がそう思う側で沙織はみほに向けてこう問いかける。
「じゃあ、みほの実家は自衛隊と関わりを持つような家系なんだ」
「となると、”戦車道”の家元なんですか?」
「うん……」
沙織に続くように言い放った、華の言葉を聞いてみほは表情を暗くしながら一言返事を返した後、黙りこんでしまう。
そりゃ、あんな事があったらな……。



そう俺の側で暗くなったみほの表情を見て再び沙織と華がみほに問いかける。
「どうしたの?、みほ」
「みほさん、何か実家の方であったんですか?」
こう問いかける沙織と華であったがみほの表情はますます暗くなり顔を俯けていく。
このみほの行動に沙織と華が共に「自分たちの発言が、みほを傷つけてしまったのでは無いか」と言う表情で互いの顔を見合わせてながら何といって謝罪するべきかアタフタして、裕也もどうするべきか困惑していた。
まぁ……、お前達が悪いわけじゃないんだよ……。だけど、ちょっとみほのブラックボックスを開ける&トラウマスイッチをONにする様な事なんだよね……。
そう思いながら、俺は裕也と沙織と華、そして黙り込み黙々と味噌汁を口にするみほを横目に見ながら沙織と華達に向けてこう言い放つ。
「沙織、華、みほは実家とギクシャクしているんだ。済まないが、実家の話は止めてくれ」
俺がそう沙織と華に向けて言うと沙織と華は「「あぁ」」と共にいった後、続くようにみほに向けてこう言う。
「ごめんね、みほ。色々と事情があるんだね」
「みほさん、本当にごめんなさいね」
こう言って謝罪を述べる沙織と華に対してはみほは俯けていた顔を上げると、二人に笑顔を向けながらこう述べるのであった。
「ううん、二人共、気にしてないから大丈夫だよ」
「………」
笑顔のみほを見て、思わず俺は胸が詰まるような気分になる。
俺がみほの幼馴染だから言える事だ……、彼女は決して強い存在では無い……、無茶しなければ良いんだが……。
そう思うと、俺は少なからず気が気でなかった……。


その頃、大洗学園の生徒会室では生徒会会長である角谷杏|《かどたにあんず》
生徒会副会長の小山柚子|《こやまゆず》、生徒会広報の河島桃|《かわしまもも》がこう言葉を交わしていた。
「会長、それは一種の情報操作では無いでしょうか……?」
「大丈夫、大丈夫」
会長の提案に柚子は、あんまり乗り気では無くむしろ否定的とも言える返事に会長はそう言って返す。
そして会長の言葉を聞いて河島はこう言い放つ。
「畏まりました、直ちに実行します」
この時、この生徒会で決定した計画がこの後、龍、みほ、沙織、華、裕也を巻き込んだ大騒動になるとは当の俺達が予想できたであろうか……。






……

………



昼食を終えた俺達は教室に戻り、高校生らしく放課後の予定を会話していた。
「ねぇねぇ、放課後、皆でお茶しない?」
「うわぁ~、高校生みたい」
「私達は高校生ですよ」
沙織の提案に対して、返したみほの返事に対して華がそう言うが、全く華の言う通りである。
今の俺達が高校生じゃなければ俺達は一体何なんだよ?っていうか、何が高校生になるんだ?
ここまで来ると天国に居るソクラテスも驚くまでに哲学的レベルの問題だな……。
そう普段は使わない脳の一部を無駄に回転させる俺の側でみほ達は軽く笑った。
軽く笑った後、沙織は俺達に顔向けてこう言い放つ。
「実は相談があってさぁ~」
「何だ?」
そう裕也が問いかけると沙織は深くため息を一回付くと俺達に向けてこう言い放つ。
「ちょっと悩んでいて、私って罪な女よねぇ~」
「誰か殺したの?」
「そこまで重罪じゃないわよ!!」
裕也のチョッカイにムキーッ!!と言う字幕がバックに見えそうな程、沙織が起こるのを見て笑っている裕也を横目に見ていると華が微笑みながらこう言い放つ。
「また、その話ですか?」
「うん、いろんな男の人から声掛けまくられてさぁ~、どうしたら良いの?」
全く……、この世にココまで脳の中身が恋愛の事で埋め尽くされて真っピンクのお花畑な人が居るもんだな……。
最早、尊敬に値するレベルの沙織を見て、俺はそう思いながら、両手に顎を乗せながらため息を付く沙織に向けて俺はこう言い放つ。
「それは、ただの挨拶だ」
「龍さんの言う通りですよ」
俺と華がそう言うと沙織は首を横にブン!!と振って否定するとこう言い放つ。
「だって!!3日連続だよ!?これって気がある以外に何があるのよ!?」
「はいはい」
「お前、絶対想像妊娠するぜ」
そう言って俺と華は沙織の言葉を受け流す。
っていうか、医学が驚異的に発展したこのご時世に想像妊娠なんて、ある意味ではスゲェな……。
「まぁ、それは置いておいて……、昨日の笑って見た?」
「あぁ、
そう思いながら、話題を変えて再び5人で話し始めたその時であった。


クラスがガヤガヤと騒ぎ出したので俺達5人が正面に顔を向けると、そこに居たのは生徒会会長、副会長、広報の3人であった。
「沙織さん、あの人達は誰?」
「生徒会長、それに副会長と広報の人」
問いかけるみほに沙織がそう回答している側でクラスメート達が一斉にざわめき始める。
そりゃそうだろうな……、何の前触れも無しに生徒会会長達がクラスを訪ねてきたのだから。
「何で生徒会が?」
「一体、何事だ?」
そんな感じでガヤガヤと騒ぐクラスメート達の声を聞きながら、生徒会の広報担当は俺とみほを指さし、隣にいる会長に俺とみほの居場所を示すと会長は手を上げながらこう言い放つ。
「や~!!、西住ちゃ~ん!!、喜多川ちゃ~ん!!」
「はいっ!?」
そう言ってビクッ!!としながら返事したみほと俺の元に会長達は歩み寄ってくるとこう言い放つ。
「少々、二人に話がある。廊下に出てもらいたい」
「はい……?」
「はぁ……」
一体、生徒会が俺とみほに何の用があるんだ?全く想像がつかないな……。


そう思いながら、俺とみほは言われるがままに廊下に出ると会長は俺達二人に顔を向けて、こう言い放つ。
「必修選択科目だけどさぁ……、二人共、戦車道とってね」
この会長の言葉に俺とみほの口から出た第一声はコレであった。
「「はぁ……?」」
だよねー、当然だよねー!!
いきなり自分達のクラスに押しかけてきたと思ったら、この学校に存在しない「二人共、戦車道を選択しろ」と言ってきた。
言葉が悪いが、会長達にはこう言ってやりたい。

「寝言言ってんじゃねぇよ、言うんだったら、寝てから言え。」

そう胸の内でボヤきつつ俺は会長達に問い掛ける。
「あの……、お言葉でありますが……、会長達の発言の意味が分かりません……。この学校で戦車道は20年も前に廃止したのはずでは?」
そう不満と疑問混じりの声で問い掛けた俺に向け、生徒会の広報担当の先輩がこう返した。
「戦車道の雌型、雄型が共に今年度から復活する事になった、だから経験を持つお前たちは戦車道を取れ」
いやいや……、その理屈はおかしいですよ……。日本国憲法でも選択の自由は保証されているんですよ?
この民主主義全盛の世の中で選択肢が無いって言うのは、思い切り犯罪レベルの大問題では?


広報担当の言葉を聞いて、俺の胸の内で怒り混じりの疑問が湧く側でにみほは泣きそうな声で広報担当にこう問い掛ける。
「必修選択科目って、選べるんじゃ……」
「とにかく宜しく!!」
みほの必死の抵抗を蹂躙するかの様に会長はバン!!とみほの背中を叩きつつ、そう言い放つと副会長と広報担当を連れて生徒会室へと戻っていく。
なんとまぁ……、横暴な生徒会だ……、よくこんな人達を選挙で選んでしまったんだ?
戦後の日本において60年以上続いてきた、民主主義の崩壊の序章じゃないのか……?
それは流石に考え過ぎという奴か……、それを差し引いても”横暴”と言う事実はかき消せないがな……。
胸の内でそう思いながら、俺は側にいるみほに言葉を掛ける。相当なショックを受けているはずだ……、大丈夫だろうか……。
「みほ、大丈夫か?」
「………」
「おい、みほ?大丈夫か……って!!」
「………」
この俺の問い掛けにも答えないみほに顔を向けるとショックの余り故に目からハイライトを消し、虚ろな目で呆然と佇むみほの姿があった……。